上伊由毘男のブログ

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経済大国の日本では住む家が無く困ってる人が少なからずいる

今は自分の住む家がある人でも、何かのきっかけで住む家を失うと再度確保するのはなかなか難しいといいます。


最近、芸能人がテレビでネットカフェ難民を非難するということがありました。ちゃんと働けと。ようするに怠け者だと言いたかったのでしょう。
しかしネットカフェ難民の多くは不安定な職場ながらも働いているといいます。
にも関わらずなぜネットカフェ難民から抜け出せないかというと、賃金が低く、アパートが借りるのが困難なのです。ネットカフェの利用料金から単純計算すると普通にアパート借りたほうが安くつくような気もしますが、初期費用、すなわち敷金や礼金等が出ないといいます。低賃金ゆえその蓄えをする余裕が無いのです。また、アパートを借りるには審査があります。低賃金かつ不安定な就労では審査に通らないことも想像に難くないです。
働いていて収入があっても不安定な生活を抜け出す足がかりを作ることはできない。
もっと給料の良い職場で働こうにも、住所が無い、ではなかなか難しい。
ネットカフェ難民と呼ばれる人の中には、なにも毎日ネットカフェで過ごしているわけでなく、ネットカフェ代を節約するためであろうか野宿すなわちホームレス状態になる人もいるといいいます。
働く意欲も能力もあり実際働いている人が、なぜそのような状態にならねばならないでしょう。
そういう人のために生活保護が本来あるのですが、皮肉なことに働いて収入があると利用できないかもしれません。また生活保護になったとして、住居を探そうにも生活保護お断りみたいな物件が(表向き書かれてないでしょうが)少なくないらしいです。
ネットカフェ難民など住居を失った人々の事情は様々ですが、一度住居を失うとそこから生活を再建するのは極めて難しいのです。


それだけではありません。今住んでいるアパートなどが老朽化等で立ち退きを余儀なくされると、貧困層らは次の住まいが決まらないのです。高齢者の場合などは金銭的な問題に加え、孤独死をおそれて貸したがらないといいます。
また、老朽化により建て替えられた住宅は大家の意向で家賃が高めになるよう設定され、家賃の安い物件はどんどん減っていく傾向にあるということです。
私も今は無事アパートに住めてて家賃も安く助かっています。だが先のことはわかりません。もし住居を失ったら、安定した収入のない私に行く宛はあるのだろうか。審査に通りそうなスペックでもない。連帯保証人もいない。不安が頭から離れません。


また、住居があればよいというものでもないです。
低所得者用の共同住宅」と称し、簡素で劣悪な環境の建物に生活保護受給者を事実上軟禁し保護費を奪い取るような「貧困ビジネス」の話は、以前からずっと報道されています。それでも彼らがそこを出れないのは、一度住宅を失ったら寝る場所すら奪われてしまうことを知っているからでしょう。


住宅に関しては最低限、国とか公的機関が住む場所を保証する仕組みが必要なのではないでしょうか。
貧困層や生活困窮者が住居を借りる際、悪名高い連帯保証人制度の利用をやめ、国なり自治体なりが家賃を保証するような仕組みにすれば、貸主は家賃を取りっぱぐれる心配はなくなり、住居を失うおそれを事前に防ぐことで生活再建を促せます。
また、当人が家賃を払えなくなるほど困窮したら、そのときこそ福祉の出番。仕事も住む家もうしない、どうしようもなくなる前に手がうてます。


仕事をする意欲も能力もある人が住む場所にも困るような社会は、対策が必要だと思うのです。
会社の倒産や雇い止めなど本人の力ではどうにもならない失業、生活の中で健康を損ない今までどおり働けなくなること、不慮の事件事故、災害、等、我々はいつでも今の生活を失う可能性があります。
そういう時に、生活の困窮を防ぐため、貧困から脱出するために、住居は欠かせないものです。それを国なり制度なりがしっかり支えることは、生活困窮を未然に防ぎ、あるいは貧困からの脱出の助けとなり、社会全体を支える力になるのではないでしょうか。