上伊由毘男のブログ

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生活保護は不要か

asahi.com(朝日新聞社):生活保護、最多の3兆円超 09年度、失業者が急増 - 政治

2009年度に支払われた生活保護費が初めて3兆円を超えたことが、21日分かった。08年9月のリーマン・ショック以降、失業者が生活保護に大量に流入し、働ける年齢の受給者が急増したためだ。厚生労働省は、就労・自立支援の強化などを中心に、生活保護法などの改正を検討する。

ようするに生活保護費が増えたことが問題だという。

 指定都市市長会が昨年10月に国に要望した改革案の柱の一つは、働ける年齢の人には3〜5年の期間を設け、「集中的かつ強力な就労支援」をすることだ。期間が来ても自立できない場合、保護打ち切りも検討する仕組みだ。

ようするにのたれ死ぬか、犯罪者になって刑務所に入れということだ。

 国の推計では生活保護基準以下の所得なのに生活保護を受けていない人は最大229万世帯。本来生活保護が受けられる人に十分に行き届いていないという指摘もある。

生活保護受給世帯が141万世帯だから、生活保護を受けるべき世帯のうち実際に受けている世帯の割合を示す「捕捉率」はだいたい3割程度。ちなみにヨーロッパでは7〜8割だという。


そもそも生活保護は何のためにやっているのか。
これは、日本国憲法第25条の定める生存権に基づき、すべての日本国民が「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことを保証するために行われている。つまり、国民の生命線であり、貧弱と言われる日本唯一のセーフティネットなのだ。
それを、予算が足りないからといって、小手先の変更で支給総額を減らし、それでどうなるというのだ。
就労支援?今や大学新卒でもなかなか仕事が無いというのに、働き口が無いというのに何をどう支援するというのだ。また企業に補助金をばらまいて無理に雇用させると言うのか。その金を直接生活保護に回したほうが効率がいいだろうに。


もちろん、国や自治体の財政が逼迫してるには違いないのだから、税金の使い道は見直されるべきだし、現行の生活保護制度だって問題はいろいろあるのだから改善は必要だ。だがだからといってやることがただの「支給対象者の切り捨て」では結局問題をヨソにたらい回しし先送りで、問題の本質から目を背けてるだけだ。生存権も何もあったものじゃない。金がないからやめますというくらいならはじめっからやらなきゃいいし、厚労省だって不要だ。


やり方はいろいろだ。
例えば、いわゆる税と社会保障の一体化として、収入ゼロも含め収入に応じて支給を受けられるような形のセーフティネットにすれば、捕捉率の問題は改善するだろうし、不正受給も減るだろう(収入に応じた給付なら、不正受給とはすなわち脱税になるから)。
あるいはベーシックインカムのように(生活できるだけの)一定額を全国民に給付すれば、役所の窓口で生活保護申請を門前払いされて餓死するようなことも避けられる。そして全国民が一定額を受けられるのだから「俺が汗水たらして働いてるのにあいつ楽して金もらいやがって」問題も無くなる。
そうしてセーフティネットを整備するなら、現行の生活保護は廃止する選択肢もありかもしれない。人手もかかるし捕捉率の問題もあるし。ほんとうに困ってる人が役所の水際作戦で受給できない一方で、悪質なNPOなどの貧困ビジネスの餌食になることもなくなるだろう。
そこはいろいろな考え方や方法があるし、議論や検討を速やかにすすめなければならない。


ようするにセーフティネットをどうするかという考えも無しに、予算が足りないから生活保護打ち切ります受給対象者減らしますなんて言い出すのは無能の証であり、そんなことを言いだす役人や政治家こそ無駄飯食いだ。


金がないからやめますとかバカでも言えるわ。やるべきことと不要不急のことの区別もつかんのか。金足りないなら優先順位つけろ。