上伊由毘男のブログ

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アニメ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」は時代劇だったのだ

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こないだまでNHKで「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星」を放送してたので観ていた。アニメ自体はもう観てたので内容は知ってたんですがテレビ放送用にわりと端折ってましたね。あと最終回は「“機動戦士ガンダム THE ORIGIN 一年戦争編 今秋スタート!”」みたいなサプライズ期待してリアルタイムで観てたんですが普通に放送を終えてしまった。
それはそれとして。


漫画原作のほうは読んでないんですが、今回アニメ化された部分だけでも「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」(以下オリジン)は、1979年に最初に放送された「機動戦士ガンダム」(以下ファースト)と話の辻褄つーかイメージとあわないなと思えるところがいくつもありました。
ジオン・ダイクンはあんなにヒステリックだったのか?
後継者にデギンを指名したのはジオン・ダイクンではなかったのか?
ギレンとキシリアはあんな昔から仲悪かったのか?
ジンバ・ラルはあんなに低能そうだったのか?
連邦軍がMSの有用性を確信したのはルウム戦役と言われていたがなんであんな以前からガンタンクが存在するんだ?しかもサイド3に。同じくなぜ一年戦争以前からガンキャノンの量産があんなに行われているんだ?
ガルマおぼっちゃますぎないか?ファーストでシャアと再会したときの態度と違いすぎないか?
そもそも全体的にコミカル描写すぎないか?



とまあ、ちょっと思い出すだけでもこれだけ「?」が思い出せるんですが、でもいいんです。これはオリジンなんですから。安彦良和氏による“安彦ガンダム”なんですから。時代劇作家がそうであるように、ファースト=富野ガンダムを史実にした上で描かれた作品なんです。



時代劇つーか歴史を元にしたフィクションでは、ほんのわずかな史実を元に勝手に話膨らませる手法は大昔からいくらでもあります。忠臣蔵しかり。宮本武蔵しかり。



だからこのオリジンも、ファーストという史実を元に安彦氏が創作した“安彦ガンダム”なんです。辻褄が合わなくても、フィクションなんだからそんなに目くじらたてることもないんです。もっとも、それが許されるのは、富野由悠季氏とともに“ガンダム生みの親”の一人である安彦氏だからこそでしょうが。



思えばガンダムの歴史は後付設定の歴史でした。
0080は素晴らしかった。史実を一切曲げること無く新作ガンダムを作った。
様子がおかしくなったのは0083から。美化されるジオン。観艦式全滅やコロニー落としほどの大事件を勝手に追加。あきらかにオーバーテクノロジーで歴史の流れを無視したGP03。



しかしこれが大ヒットしてしまった。



バンダイサンライズは気づいてしまった。「宇宙世紀トミノを無視しても儲かるんだ!」
ガンダムがそんなになっちゃったからこそ、富野氏は自ら「∀ガンダム」で決着をつけたのだ。
ところがそこへあのガンダムUCである。バンダイサンライズは決して手を出してはいけない領域で作品を作った。なにがアクシズ・ショックだよ。ニュータイプデストロイじゃねっつーの。ださ。



しかしこれが大ヒットしてしまった。


もはやガンダムという作品はぐちゃぐちゃだ。それこそ「目が2つついててアンテナ生えてりゃマスコミがみんなガンダムにしちまうのさ!」*1である。



だが、ファーストガンダムから続く世界観を守り、かつ今あるガンダムも肯定する方法がある。


辻褄の合わないガンダムは、全部宇宙世紀の中の“劇中劇”だと思えばいい。



富野由悠季氏が手掛けたガンダムだけが史実で、あとはオリジンも含めて“ガンダム世界の中の創作物”だと思えばいいのだ。それで全部辻褄があう。というかそうでもなければガンダムUCなど観てられん(観たけどさ)。



だからオリジンも楽しんで観ました。ツッコミしながらだけど。


さて、この“富野ガンダムだけが史実”理論で今気になっているのは、原作小説から30年の時を経ていよいよアニメ化される「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のことだ。紛れもない富野ガンダムであり宇宙世紀を舞台とした“史実”だが、同時にあのガンダムUCガンダムNTの続編としても作られるわけである。そして本アニメに富野由悠季氏は直接関わらない模様。原作小説を史実と考えれば、これもまた“劇中劇”なのだろうが、我々は30年待ったのだ。極力史実に沿って原作を尊重した作品が観たい。



そして、宇宙世紀の新たな百年を紡ぐという「UC NexT 0100」プロジェクトの中で、やはり富野由悠季氏原作の「機動戦士クロスボーン・ガンダム」はアニメ化されるだろうか・・・祈念。

*1:富野由悠季氏原作の「機動戦士クロスボーン・ガンダム」にそういう台詞がある