上伊由毘男のブログ

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NHKの「NEXT WORLD 第3回 人間のパワーはどこまで高められるのか」を見たよ


1月24日にNHKで放送された「NHKスペシャル|NEXT WORLD 私たちの未来」の「第3回 人間のパワーはどこまで高められるのか」を見ました。


番組では、脳とネットワークが直結し、飛躍的な能力を得ることで、これまでの暗記優先の勉強法は意味を失う、というような未来が描かれていました。そしてそれが人間の能力を拡大させる、と。


ちょっと、ん?と思いました。それは人間の能力が拡大してることになるのだろうか、と。


現在でも、我々はスマートフォンを持ち歩き、どこでも検索できる、地図を見れる、たくさんの人たちと情報交換できる、と、ちょっと前では考えられなかったような生活をしています。
確かに便利にはなりましたが、それはあくまでテクノロジーの進化であって、我々自身の能力が拡大したわけではない、と思ったのです。
これだけ便利になった世の中でも、やはり会って話すことが重要視されています。その時、頭のなかに情報の引き出しがあるかないかでは、全く会話の成果が変わってくるのではないでしょうか。
番組では、そうしたいわゆるインスピレーションや感と呼ばれるようなものまで高度に解析され、我々自身をパワーアップする、ような感じでした。
でもそれは、やっぱりテクノロジーの進化であって、人間そのものが進化したわけではないでしょう。


私が子供の頃は、「最近の子供はナイフが使えない、リンゴをむくことも鉛筆を削ることもできない、軟弱だ」的な物言いがされてました。
しかし実際には、今そもそも鉛筆を使うこと時代が珍しいし、リンゴはスーパーやコンビニですでに皮をむいたものが売っています。
それが良いことなのか悪いことなのかはひとまずおいておきます。
ただ、結果として、我々は能力の一部を失いつつあるとも言えます。
例えば、明日隕石が落ちてきて、文明と言われるものがほぼ灰になったとして、運良く生き残った人たちに何ができるでしょか。
火をおこすことすら難しいのではないでしょうか。となれば、暖をとることも、食事をすることも困難となります。家だって文字通りイチから作らなければならないので、雨風をしのぐことも難しいでしょう。
よく文明批判的な物言いをすると「お前一人で原始時代に帰れよ」的な反論がなされますが、実際には、我々は原始時代の人間より能力が落ちている、のかもしれません。
もちろん、今の我々にはライターもあるし、食うものはどこでだって買えるし、家にはエアコンもあります。そうした生活の中では、火をおこしたり家を建てたりあるいは野生の動物を捕まえて食べる方法などは、無用であります。必要のない能力です。だから、能力が落ちたのではなく、現代社会に人間のほうが適応した、と考えるのが自然でしょう。


とはいえ、テクノロジーが何もかも解決し、バラ色の未来が訪れる、とは、能天気に思うことは、私にはできそうにありません。