上伊由毘男のブログ

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木を見て森を見ない偏見と安易なレッテル貼りが人々を貧困や死に追いやる

生活保護の不正受給に対し、しばしば制度そのものの非難が行われるが、全体から見た不正受給の割合は極めて少ない
増加したのは不正受給なのか?|誰かの妄想
もちろん少ないから見過ごせと言うわけではない。むしろ、限られた財源を本来必要な人へ行き渡らせるためにも不正受給に対しては厳しい対応をすべきだ。しかし、ほんの一握りの不心得者だけをつかまえて、生活保護受給者全員が犯罪者であるかのような見方はあまりに短絡的だ。エレキ持つ奴はみんな不良だとかバイク乗る奴はみんな暴走族だとか秋葉原にいる奴は全員変態犯罪者だとか言うようなものだ。自動車事故が絶えないから自動車禁止とか言うようなものだ。
生活保護費の不正受給、神奈川県内は7億3646万円と、過去最悪に

 不正受給が保護費支給額全体に占める割合は0・4%にすぎないが、各自治体は「貴重な税金を充てている以上、額の大小にかかわらず許すわけにはいかない」と、効果的な防止策の検討を始めている。

貴重な税金を使ってるという意識があるなら、取り締まるためのさまざまな経費とそれによって防げる不正受給額をちゃんと計算してはどうか。1%未満の不正受給者のために99%以上の保護を受けるべき人々が迷惑を被るようではそれこそ正直者が馬鹿を見てしまう。ただでさえ、本来生活保護を受けるべき人が受けられていないという問題もあるのだから。
ホームレスの約6割はうつ病!? “路上に引きこもる”人々が生活保護を嫌がる理由|「引きこもり」するオトナたち|ダイヤモンド・オンライン

「誰も優しくない」
 そう言うのは、やはり路上生活を続ける40代のヤマザキさん。大企業の工場に派遣され、部品を組み立てる作業の仕事をして、ずっと生きてきた。
 しかし、昨年、派遣切りに遭い、仕事を失った。住居も追い出され、うまくコミュニケーションできないまま、路上生活からうまく這い上がれなくなっていた。
 ヤマザキさんは、小さい頃からいじめられてきた。親にも暴力を受けてきた。
生活保護は絶対に嫌だ」
と、ヤマザキさんもまた、セーフティーネット生活保護を拒み続ける。
生活保護を受けたら、ヤクザに利用されて、お金を全部取られる」
 生活保護は、ヤクザがベンツを乗り回すためにやるものだと、ヤマザキさんは本気で思っている。
「俺は、あいつらとは違う」

生活保護に対するイメージの悪さから、「税金の世話になりたくない」「税金で食べていると思われたくない」という考え方が、社会復帰のネックになっている。一方で「生活保護ではなくて、働きたい」という勤勉意識の強さも反映されている。
 中でも、これまで一生懸命仕事してきた人ほど、自尊心があり、お上に「すみません」と下手に出て、頭を下げることへの抵抗感がある。頑張ってきて、やっとの思いで生活保護の申請に行った人たちも、「なんで頑張んなかったんだ」「まだ若いのに」と、一部のワーカーから言われてしまったりする。

貧困や生活保護に対する無理解と偏見が貧困を増やしていく。結果、一度転落したら再起する道が閉ざされて、生活保護を必要とする人々が増えていくという悪循環。
ちょっと前までちゃんと働いて家族を養っていたような人でも一度失業したら路頭に迷ってしまう。今ちゃんと会社勤めしてる人だって他人事ではないのだ。


生活保護に対しては「俺の税金で生活しやがって!」ではなく、自分のいざという時のための制度として考え理解していく、また行政側も費用対効果も考慮し保護が必要な人はもれなく制度を適用されるよう工夫する必要がある。不正受給者は減りましたが本来必要な保護が受けられない人も増えましたでは何のための制度かわからなくなる。