上伊由毘男のブログ

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サブスク音楽配信は便利で手放せないけれど

iPodが発売された時、真っ先に手に入れた知人は「家のCDラック全部持ち運べるようなもんだよ!いつでもどこでも全部聴けるんだよ!」と軽く興奮気味にその魅力を教えてくれた。
そして今や音楽配信が定額&低額(いわゆるサブスク)となり、あたかもレーベルのカタログごと持ち歩き、好きな曲をいつでもどこでも手軽に聴けるようになった。
私も利用している。この便利さは手放せない。


一方で、こうも思う。
金と時間と部屋に余裕があったら、ちゃんとしたCDコンポで、1枚1枚CDを選んで聴くような生活をしてみたい、と。CD聴きながら、インナースリーブに目を通し、クレジットを確認しながら、耳を傾ける。


若い頃はそうしてたのだ。新譜を買ってきては、ワクワクしながら(ジャケ買いしたような場合は不安も入り交じりながら)開封し、CDをプレイヤーに入れた。ジャケを眺め、インナースリーブをチェックし、ミュージシャンらの名前を覚えていった。
それに、外で聴くためにはカセットテープやMDにダビングしなければならず、そのためには実時間で最低一度は聴かなければならなかった。たとえクソ盤だったとしても。アルバムなら3,000円も出して買ったのだ。どこかに価値を見出そうといやいや流したりとかしていた。


そして出かけるときは、そのポータブルプレイヤーに合わせ、何をどれだけ持っていくか吟味したり。CDプレイヤーの場合は当然アルバム単位だが、ウォークマンやMDプレイヤーの場合はシングル曲をメインに自分で作ったベスト盤みたいなものもある(CDシングルはさすがに出し入れがめんどくさい。それでも聴くときは意識を高めてたが)。たくさん持っていけば荷物になるため、旅のお供となるテープやディスクの選別には頭を悩ませた。


それだけ、音楽を聴くことにこだわってたんだろう。それは不便ではあったけど、楽しい課程でもあった。


今はサブスクを利用し、パソコンやスマホで音楽を聴いてる。リッピングすることすら稀になった。懐メロから最新ヒットまで軽々と聴くことができる利便性はもう手放せない。


CDで音楽を楽しもうとしても、今の自分には経済的にも精神的にも時間的にもゆとりがない。なんなら部屋にCDラジカセ置く場所すらない。CD自体もだいぶ処分してしまった。もう、ダビング待ちの間にジャケを鑑賞したりインナースリーブを読み返す余裕が、ない。世知辛い日々だ。


音楽体験という意味で言うなら究極的には「聴ければいい」ので(AMラジオで流れてても名曲は名曲だ)昔は良かったとかなんとか言いたいわけじゃない。今十代だったとしたら、1,000円でなんでも聴けるサービスなんてありがたいに決まっている。


それでも時々思う。CD1枚1枚を慈しんで聴いてた頃のほうが、心豊かであったのではないかと。

大河ドラマ「 #麒麟がくる 」は「光秀最期の12日間」が観たかった

明智光秀を主人公にしたNHK大河ドラマ麒麟がくる」が終わった。


だいたいの戦国モノ時代劇って本能寺の変中国大返し山崎の戦い、って流れで描写されて、その間光秀が何してたかってほとんど描かれない。
だけど今年は光秀が主役だから、当然本能寺の変後の話もちゃんとやると思ってた。
本能寺の変直後から、光秀が何をして何を考えどう動き、そしてなぜ賛同者が出なかったのか、なぜ光秀は負けたのかとかそういうのが光秀視点で描かれると期待して一年観てきた。
ところがそのへんは全スルー。
山崎の合戦で秀吉に負けました、はい三年後、って、は?とか思った。
俺は歴史クラスタでも史実以外許さないマンでもないし、主役の無様な姿は見せたくないって発想で光秀の死を描かないってやり方もありうるとは考えてた。
しかしいきなり三年後秀吉の天下になりましたって言われてもなあ。
麒麟がくる」が信長と光秀の二人の物語なのだ、というなら、本能寺の変終わったところで「完」とかでもよかったわけだ。
「変」を事前に察知した秀吉なら中国大返しも説明がつく。あの、ちょっとワルそうな秀吉と光秀の山崎の戦いも楽しみにしてたのに。


新しい光秀像、新しい信長像、新しい秀吉像を描いてくれた作品だっただけに、「光秀最期の12日間」が観たかった。

映画「search/サーチ」を観た(ネタバレ)

ストーリーが全てパソコンの画面上で進行するというので興味を持った。公開当時に行きそびれてやっと観れた。
最初から最後までパソコンの画面が映し出されるので没入感があり、主人公と同じ目線になった気になれるので一緒にハラハラドキドキしてしまう。ポインタの動きやタイピングで戸惑いを表現したりとか、我々が日々使ってるネットあるあるを上手く組み入れている。
それにしても主人公はパソコン使うの上手い。向こうの人はみんなこのくらいのリテラシーを持っているのだろうか。パソコンを使い慣れてない人は画面上で何が起こってるのかついていくのが大変かも。でも主人公もtumblrは知らなかったらしい(泣笑)。
あと画面上に出てくるウェブサービスはほとんど(全部?)が本物のブランド名。それも作品のリアリティに貢献してると思う。
娘が幼い頃はWindowsだったのがいつのまにかMacになってたのは世相の反映だろうか。
ストーリーも、「警察よりお父さんのほうが優秀じゃん」って思ってたらそれも伏線で最後のどんでん返しくらった。
面白かった。

映画「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」を観た(ネタバレ)

いわゆる「ダークナイト3部作」

バットマン ビギンズ

バットマンに関してはなんの予備知識もなく観たんですが、いやー面白かった!
変身モノじゃなく、本人が強くならなきゃなんですね。まずそこからはじまる。良い。しかも意見の相違で自分を鍛えてくれた連中を爆破!バットマンのスタイルと強さがすべて説明つく。屋敷の地下の秘密基地とか。こういうのがいいんだよ。それゆえに敵に対して圧倒的なアドバンテージがあるわけでなく、ガスも食らうし火ダルマにもなる。決して最強のヒーローじゃない。でも戦う。良い。あとやはり映像がカッコ良かった。タンブラーかっこいい。
ただ正体を他人にバラしちゃうの?とは感じた。バラさずにボカしたほうが良かったと思う。

ダークナイト

素晴らしい作品だった。映像もかっこよかった。しかしつらかった。
ジョーカーはまぎれもなく悪役だし、実際悪いやつだ。しかし彼を「悪」と断ずることに躊躇してしまう。いや悪だよ。そしてバットマンは正義だよ。しかし、あれだけの悪行を見せられてもなお、正邪で語ることに躊躇してしまう。ジョーカーみたいなやつはいないほうがいい。そうだ。滅せられるべきだ。そうだ。それには何の疑念もない。だが、そう語る時なぜか、心の中にひっかかるものがある。それこそが本作のテーマなんだろうか。
あとタンブラーの一部がバイクになって脱出ポッドになるのかっこよかった。

ダークナイト ライジング」

先に書いておくと、登場人物が多すぎて細かいところはよくわからなかったがだいたいはわかった。
悪役を最も悪役たらしめるのは暴力と恐怖だとあらためて思い知る。舞台は前作より8年後、この作品の主役であるバットマンは復活したもののかつてのようなあざやかな活躍は見せない。むしろずっと負けっぱなしだ。クライマックスにおいてもだ。最後の最後は自己犠牲で街を救う。1作目から引っ張ってきたフリがここで生きるとは。
ラストは、観る者のイマジネーションにゆだねられる。「バットマン」は再び現れるのだろうか、と。
ただ、核爆発の威力弱すぎとは思った。

映画「日本のいちばん長い日」(1967年)を観た

最近も同じ題材で映画作られたけどこれはオリジナル(と言っていいのかな)の方。
教科書では「ポツダム宣言受諾」で終わるこの日にこんなドラマがあったとは。いや知識としては知ってたけど、あたかもドキュメンタリーのような作りに没入させられた。これは演技ではなく歴史なのではないかと。この人たちが戦争を遂行し、そして終わらせたのではないかと錯覚しそうになった。そのくらい迫力のある作品だった。ラストのナレーションが、当時の人々がいかに平和を希求していたかが伝わるようで、心震える。観るべし。

アマプラで観た映画「インセプション」ネタバレ感想

難解と言われるクリストファー・ノーラン監督作品。こまかいところを別にすればなんとかついていけた。
夢の中で見る夢の話。その発想自体はまあめずらしくないんだけど、表現方法が良かった。そもそも冒頭のシーンからなんだかよくわからなくて、観てるうちに徐々に理解していった。激しいアクションシーンを通じて世界観が伝わってくるのはすごい。夢の階層による時間経過の変化って発想も面白い。
冒頭、日本からスタートする場面のあたりでもう軽く混乱してたからな。観ているうちに理解できたけど。あと単純に洋画に日本のシーンがあるとちょっとうれしい。
我々が生きているのはどっちが夢でどっちが現実かっていう話もいろんな作品でなされているけど、どっちでもない“虚無”はおそろしい。
ラストシーンが良い。こういう余韻のある映画が好き。

映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」をアマプラで観たのでネタバレ感想

面白かった。

全編ほぼワンカットに見えるようにしてある作品ということで興味を持って観た。長回し大好き。途中ファンタジー的な演出も合わさってなお長回しが続いてる(ように見える)のはすごかった。
内容的には、劇中劇と主人公の立場をダブらせてるような描写が印象に残った。落ちぶれた役者の再起の物語としても面白かった。ラストシーンの娘の表情が良かった。
あと音楽。詳しいことはよくわからないけど、BGMのはずがプレイヤーがちょいちょい出てくるようになってる演出がカッチョイイ。
他、いろんなシーンが興味深かった。