上伊由毘男のブログ

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なぜコンピュータは人に優しくないのか

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少し前に、“コンピュータはこの30年、まったく進歩していない”という記事が話題になりました。



「みんなジョブズに騙されている」増井俊之教授が進歩の止まったコンピュータのUIを問い直す【TechLIONレポ】 - エンジニアtype

私たちの世代は、計算機が時間をかけて進歩してきたことを知っているからいいですが、生まれた時にすでにインターネットやWindows 95があった今の学生からすれば、生まれて以降、何も変わっていないことになるのです


そういえば、って思いました。私もパピコンとかMSXとか知ってるベーマガ世代なんで、パソコンの性能が上がるたびに、うぉ!すげえ!テクノロジー万歳!とか言ってて。大人になってからインターネットをやるためにボンダイブルーiMac買った時は、なんでもできる!って感動したし、今私の手にあるiPhoneは、そのボンダイブルーiMacをはるかに凌駕する性能を持っています。


とはいえ、確かに、パソコンの画面で言えば相変わらずデスクトップ・ファイル・フォルダ・キーボー・マウスの組み合わせで、はてブでは定期的にエクセル方眼紙をdisるエントリが賑わったりするわけです。コンピュータに詳しくない上司が「コンピュータウィルスはCD-Rで焼けば死ぬ」ってなツイートがあればRT稼ぎまくるわけです。iPhoneがタッチインターフェースをデファクトスタンダードにしたことは間違いないですが、タッチインターフェース自体はそれ以前からもPDAでありありましたし、さらに言うなら駅の券売機も銀行のATMもタッチパネルです。そして券売機やATMをなんなく使う人でも、スマフォの使い方がわかんない人が多いらしく、書店に行けば解説書が山積みだったりします。それMS-DOSの頃から変わってないっちゃ変わってない風景なわけで。


ちょっと言葉悪いですが、初代Macintoshの発売から30年、iモードから15年、iPhoneから7年、バカでも使えるコンピュータはいまだに出てきていない。
かつてビル・ゲイツは、コンピュータを一般の人にも使えるようにとBASIC言語を開発したといいます。またiMac以前のMacintoshがいわゆるクリエイターの人々に愛用されたのは、コンピュータに詳しくなくても使え、クリエイティヴな作業に集中できるからと耳にしたことがあります。
そして、少年期以来十数年を経てインターネットのために買ったiMacを私がなんなく使うことができたのも、そうした思想が元になっていたからだと思うんですよね。


確かに、まだよちよち歩きの赤ん坊が親のiPadYouTube勝手に好きな動画を検索して見てたって話を聞けば、おおiPadすげえ!インターフェイスの革命や!さすがジョブズ様!とか思ったりもするわけだけど、一方で学校の先生は相変わらずコンピュータ教育に苦心し、LINEにも裏BBSにもついていけずにスマフォ禁止令とか出しちゃったりするわけです。

今の計算機は、開発者が自分が使いたくて作ったものを、“弱者”も含めて全員に使わせようとしている。それは例えて言えば、絵を買いたいと言っている人に画材を買わせているようなものです。

一般の人は、すばらしい絵を見たいのであって、絵が描きたいわけではない。


一般のIT感のない家電でもそんな印象はあって、例えばテレビ。さすがにコンピュータ積んでないテレビはもう無いと思いますが、それでも、買ってくると分厚いマニュアルがあって、HDMIケーブルのおかげで接続が楽になったとはいえ、リモコンのボタンは相変わらず多いままです。テレビみたいだけなのになんなのよ的な。今手元のリモコン数えたら62個ボタンがありました(うち地デジ4個)。ガラケーのボタンが20個前後なの考えると、多くても許されるのはそこまでですよねえ。これも開発者の(あるいは会社の)都合でしょうか。地上波は都道府県で届く電波決まってるんだから勝手に受信してエリア判断してチャンネル設定くらいしろくらいは思いますし、録画機ではキーワード予約みたいなのができるってんなら、その人が普段どんな番組観てるか記憶して、「ただいま」って声かけたら音声認証で自動的にユーザーが見たがってる番組つけるとかできないんでしょうかね。


まああんまりテクノロジー進み過ぎると人間がバカになって一億総白痴に拍車がかかるのでなんでも程度もんでしょうけど、テレビと違って、コンピュータなら一億総白痴をもとに戻すこともできるんじゃないか、そんな可能性もあってほしいと願うのです。