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上伊由毘男のブログ

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アップルどころじゃない、死にたくなる労働環境のニッポン

中国の鴻海精密工業傘下である富士康科技(Foxconn Technology)深セン工場で、自殺が多発してるとの報道がある。この工場ではiPhoneiPadなどのアップル製品をはじめ、デル、ノキアソニーなどの製品を受託製造している。
アップルを揺さぶる中国「連続自殺」 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

欧米の消費者は普段、自分たちが買う高級ブランドのスニーカーや電子製品がどこでつくられたかなど、あまり考えない。しかし、一流ブランドの委託を受けている海外の工場の劣悪な労働条件がクローズアップされると、状況は一変する。過去には、ナイキGAPなどの企業がこの問題で激しい逆風にさらされた。

 いまメディアをにぎわせている中国の台湾系電子製品メーカー、富士康の自殺多発問題も、アップルやヒューレット・パッカード(HP)、デルなどの大手企業に打撃を与えかねない。

工場側は自殺と労働環境の因果関係を認めてはいないが、賃金を30%引き上げるなどの対策を打ち出している。取引先のブランドイメージ低下を招くことは工場側にとってもマイナスだと考えているのだろう。


この件で注目されたこの中国工場を潜入調査したという記事があるのだが、
自殺は続くのか? 従業員の怪死に悩むiPhone製造工場のFoxconnに潜入調査 : ギズモード・ジャパン

1日15時間労働で1週間7日の勤務日という、この数週間の仕事はまったく休みのない状況で特に酷いものでした。

残業代も休日出勤手当ても無いに等しいんです。過酷労働なのに超薄給! その現実を噛み締めれば噛み締めるほど、もうやり切れなさが無性に募ってくるに違いないでしょうね。

ロボットと化すことが求められる製造現場で、何を根拠に独創性を発揮してスキルアップが遂げられるというのでしょう? そんなことはまったく期待されてもいないし、この過酷労働が延々と続いていく以外に道などないことに程なくして気づいた若者たちは、まるで自殺症候群のような集団心理に襲われて、厳しい現実から逃避しようとします。

日本の労働環境そっくりではないか。そりゃ自殺者が毎日出るだろうという話である。


この自殺問題に関して現地では抗議行動も起こってるらしいが、日本では過労死も自殺もありふれすぎて話題にもならない。いやアップルにではなく、同じようなことをしている日本企業に対してである。
マクドナルドで、トヨタで、庄やで、すかいらーくで、このようなことが起こっても、抗議行動があったという話は寡聞にして知らない。
人権面で問題があると思われる中国でさえ、このような事件が起これば急いで給料を上げるというのに、日本では「社会の厳しさ」「甘え」などと言われたり、「会社が立ちゆかないからしょうがない」などと意味不明な意見まで出てくる。
企業の競争力の名のもとに劣悪な労働環境は放置、行政も政治も見て見ぬふりをし、企業名を公表どころか実態を把握する気すら無い。組合などの圧力団体をバックにするものだけがたんまり年金をもらって逃げきろうとしている。
メディア自身が劣悪な環境で下請けを使っているから報道もされず、またマクドナルドやトヨタなどの大企業は大スポンサーでもあり報道もされない。ファストフードの新メニューや新車の発表は華々しく報道し、居酒屋の新メニューを紹介し、ファミレスのメニューを食べつくす番組を作っても、そこで働く人のことは無視である。
日本は国ぐるみで自殺に追いつめてるようなものだ。


自己責任だ努力が足りないだなどと言いながら自らの保身だけを考え、額に汗して薄給でがんばっている人たちのことを無視する。
いや自分の保身を第一に考えるのは人として当然ではあるが、だからといって自分「だけ」が良ければいい、ワーキングプアや生活困窮者は勝手にのたれ死ねなどという考えはいずれ自らの首をしめることになることに気づいてほしい。
wikipedia:彼らが最初共産主義者を攻撃したとき

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた。

今や正社員でも人員削減の犠牲になりえるし、誰しもが失業の可能性があるし、一度失業してしまうと経済状況、社会制度の両面で再就職は実に難しと言う現実を忘れないでほしい。