上伊由毘男のブログ

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やり直しを許さない日本の切腹文化

日本では一度でも失敗したらそれを一生背負わなければならない。それは「切腹」にも似ている。さすがに現在では実際に腹を切るわけではないが、慣用句としては残ってるし、しくじったら「死んでお詫び」するしかない。
だから、受験に失敗したものは企業への就職も難しく、就職で失敗したら転職を余儀なくされ、転職している人間は働く前から評価が低く、と、やり直しが難しい。
以下の二つの問題、根は一緒だと思うのだ。
刑務所出所:仮釈放が満期下回る 高齢化、引受先なし - 毎日jp(毎日新聞)

満期出所は保護観察など国の監視や支援がなく、仮釈放より再犯率が高いとされる。国は仮釈放された人の社会復帰を助ける自立更生促進センターの整備を目指すが、反対運動などで難航している。

失敗できない日本 - Zopeジャンキー日記

若者が就職できなくて苦しんでいる。新卒で採用されなければ、その後に就職できるチャンスは大きく減るので、就活に必死になる。「失敗できない」わけだ。

なぜ、日本はそうなっているのか。企業はなぜ、もっと中途採用しないのだろうか。

それは、企業の側も「失敗できない」からなのだ。日本では解雇規制があるために、いったん正社員を採用すれば、会社側から解雇することはほぼできない。

前途洋々の若者と前科者を一緒にするなと言うなかれ。
人間に失敗はつきものだ。だからこそ罪を犯しても法で裁かれ、罪を償い、更生するという道があるはずだ。だが実際には「前科者」というレッテルがつきまとい再び罪を犯さざるを得ない状態も少なくないのだろう。
就職に関しても同様だ。「前科」のない新卒ばかり採りたがる。「新卒で就職できなかった人」「転職歴のある人」「若くない人」はそれだけで「信用できない」となる。過ちを犯さない人間などこの世にいないというのに。
失敗ができる国、日本 : ロケスタ社長日記

アメリカとかでは、仕事で失敗したら結構な割合で解雇されるとか聞きます。

一方で日本ではちょっとやそっとでは解雇されません。解雇規制があるからです。

で、その仕組だと、仕事で思いっきり失敗できるのは日本です。すごく大きな失敗をしても、それが全力を出しきってやっている限り、解雇されないので、思いっきりできます。
しかも、日本の企業では

「大きな失敗を経験した=成長した」

とみなされて評価の対象にすらなったりします。

アメリカで、仕事を失敗したからと解雇出来るのは、再雇用の土壌があるからだと聞く。そして、仕事で思いっきり失敗して解雇されても、それを「成長した」とみなされるために再雇用も容易だと耳にしたことがある。私もアメリカで仕事したこともないので伝聞だが、機会の平等を重んじるとされるアメリカならありえる話だと思う。
日本で失敗が許されるのは会社、そして上司に忠誠を誓っている場合のみである。気に入られていれば評価もされようが、そうでなければさまざまな嫌がらせを受けて退職に追い込まれるのが日本だ。

解雇されない=部署が異動になりやすい、というメリットもあります。ボスとあわないからといって解雇にはならないので、部署を異動するという形になります。となると、ノーリスクで様々な経験をつむことができます。

その嫌がらせのひとつがこの異動だ。どんな仕事でも合う合わないがある。技術畑の人が営業に異動になって喜ぶだろうか。これまた忠誠心をためされているだけで、どんな仕事でも文句言わずにやる人だけが会社の残れる仕組みだ。アメリカなどでは契約以外の仕事はやらないという。会社におまんま食わせてもらってるのでどんな仕事でもやらねばならんというのはいかにも日本らしい。丁稚奉公の頃と何も変わっていないではないか。


大きな失敗があったら魔女狩りのごとく誰かに責任を取らせないと、切腹させないと、おさまらないのが日本なのだ。
昔、NHK紅白歌合戦で歌手の名前を間違えたために左遷されたと言われたアナウンサーがいた。事の真偽は不明だが、「失敗したら飛ばされるorクビ」というのが日本の常識だからこそ、まことしやかに左遷などと言われたのだろう。


完璧な人間など誰もいない。もっとやり直せる社会になれば日本が活力を取り戻すことができるかもしれない。
そのためには、採用する方も就職する方もバクチみたいな今の仕組みは改める必要がある。
例えば、雇用規制を緩和して、一定額を支給すれば無条件で解雇できるようにし、企業側の負担を減らす。
一方で、解雇されても路頭に迷わないですむように、ベーシック・インカム等の手段で国が生存権を保証すべきだ。
企業は望む人材を雇用できる、実際に雇用してみてためすこともできる。
労働者はブラック企業にNOを突きつけることができる、就職をやりなおすことができるのだ。
日本の企業が諸外国に立ち向かうためには身軽なほうがいい。どのみち人が仕事より多い時代は当分続くのだから、企業が従業員の生活まで守ることから開放し、「雇用されない人々」は企業ではなく国が救うべきだと考える。


それとも、企業に望まれない人々、仕事が無い人々、そんな役立たずは腹を切って死ねと言うのか。


<関連>
http://d.hatena.ne.jp/skicco/20091013/p1